世界で二番目に大きい複合ソブリン・ウエルス・ファンド(政府が出資する投資ファンド)を持っている2大大国、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアは、試験的に新たな暗号通貨を合同開発することが明らかになった。21日、米大手仮想通貨メディアのCCNが報じた。
UAEの公式報道機関Emirates News Agencyによると、「Saudi-Emirati(サウジ-エミラティ)」と呼ばれる暗号通貨は、両国で実施される7つの戦略のうちの1つだという。
2016年に結成されたサウジ-エミラティ調整審議会の執行委員会は1月19日にUAEで初めて会合した。評議会は、新しい暗号通貨が中央銀行と地方銀行間の国境を越えた支払いに使用されることを発表した。この新しい暗号通貨は、ブロックチェーンの技術を理解するため、また、2国間でのシームレスなトランザクションを可能にするための実験として行われる。
新しいこの仮想通貨は、中央銀行と参加銀行との間の両側からの分散データベースの使用に依存している。顧客の利益を保護し、テクノロジーの標準化を設定し、サイバーセキュリティリスクを評価しようとしている。プロジェクトはまた、金融政策に対する中央通貨の影響によって決定されることになる。
UAEのEmirates Islamic Bankも、2017年にブロックチェーンを使って小切手を登録する「Check Chain」というプロジェクトを作り、ブロックチェーン技術をテストした。パイロットは成功し、親銀行のEmirates NBDは昨年にこの戦略を開始し、最初の1か月だけで100万の小切手が登録されたという。
また、2018年11月には、UAEのHilal Bankは、Shariaの規格に準拠した債券であるSukukの取引にブロックチェーン技術を使用した最初のSharia銀行となった。
大手ブロックチェーンおよび暗号通貨企業の中には、すでにサービスを拡大するためにアラブ首長国連邦に向けて検討を始めているところもある。同国はすでに交換所のHuobiを歓迎しており、2019年にRippleNetと提携して国境を越えた支払いサービスを開始する予定だ。
UAEやサウジアラビアが自国の国際決済通貨を開発する一方で、クエートは、昨年末に既に国内の大手イスラム系銀行や国立銀行(NBK)がRipple(リップル)社のシステムの導入を行っている。
先月には、マレーシアの大手金融機関CIMBがリップル社の「リップルネット」に加盟し、同月には日本の三菱UFJ銀行も、リップルの技術を利用して日本とブラジル間での新しい国際決済サービスに取り組むと発表している。
クロスボーダー送金を円滑にする目的のために検討されているSaudi-Emiratiだが、すでに国際送金へ着手しているリップルやSWIFTといった競争に入り挑むことにもなるのだろうか。今後の動向に注目したい。
参考:CCN