国際通貨基金(IMF)は、2018年10月の世界経済見通しを発表した。報告書のなかで、IMFは仮想通貨に関して限定的な警告を出している。
IMFは、世界的な金融協力、金融安定、国際貿易、持続可能な経済成長に向けて活動する189の加盟国で構成されている。その主な役割は、国際金融システムの安定を確保することである。
リーマンブラザーズの崩壊と世界的な金融危機が起きてから10年経った最新の「世界経済見通し(WEO)」レポートは「安定成長への挑戦」と題されており、グローバルな成長は2018年から2019年には3.9%に上昇すると予測しているとIMFは言う。
また、新興市場の成長の緩和、米中の貿易紛争、Brexitからの不確実性の残存なども挙げられており、政策の不確実性は大きな問題であるとする最近のデータでは、貿易、製造、投資の弱体化を指摘している。
IMFは、「Financial Tensions」という見出しで、投資に対する懸念を指摘し、仮想通貨市場とそれを取り巻く不確実性が厄介であることを暗示している。IMFは以下のように述べた。
「投資家は利回りを求めてリスクの高い資産クラスに移行しました。」
WEOでは、IMFはリスクの高い資産クラスとして仮想通貨を特に挙げているわけではないが、確かに暗示しているようにも捉えられる。
IMFは、貿易、金利、インフレの他にもサイバーセキュリティ違反やサイバー攻撃が金融インフラのリスク源であり、「暗号資産の急速な成長は国際金融システムに新たな脆弱性を生み出す可能性がある。」と述べている。
また、4月の報告書では、「現在では暗号資産は巨大な金融危機の安定に対してリスクがあり、効果的ではありません。」と主張している。
同月、IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏は国際的な暗号資産の規制は不可避とし、国際的に協力していくべきだとしながらも、仮想通貨が財務の安定性にリスクを与える存在でもあると指摘している。
参考:IMF