米国証券取引委員会(SEC)は9日(日)、ストックホルムに本部を置くスウェーデン企業のXBT Provider AB(publ)によって発行された2つの証券取引所商品に対して「取引停止令」を発表した。

SECは、Bitcoin Tracker One(CXBTF)と、Ether Tracker One(CETHF)の2つの商品について「一貫した正確な情報が不足している」とし、商品が上場投資信託(ETF)にあたるかどうかという点において市場参加者の混乱を招いているという理由から、取引を停止した。

2つの商品は、ビットコインとイーサリアムの価格を追跡して連動する商品であり、いずれもストックホルムのナスダックに上場されており、実際に取引もされ、OTC Markets Group Inc.が運営するOTC取引(店頭取引)で提供されていた。

この2つの商品は特定指数に連動する上場投資証券(ETN)であり、証券として金融商品取引所で売買されている。ETFとETNは、いずれも特定指数に連動しており、取引所においてリアルタイムで売買が可能といった共通点が多い。今回の停止について、SECは以下のように述べている。

「委員会は、公共の利益と投資家保護のため、上記上場会社の有価証券の取引を停止する必要があるという見解を示した。」(1934年証券取引法第12条に従い、Bitcoin Tracker One(CXBTF)と、Ether Tracker One(CETHF)の取引は、9日の午後5時30分に停止された。)

ETFは上場投資信託という名の通り、投信に投資するというものであるが、ETNは証券に投資するものである。証券は発行体となる金融機関の信用力に基づいて発行され、ETFとは違い、裏付けとなる現物資産を持たないという特徴がある。

ETNはETFと違い裏付けが無いため、様々な投資対象に連動することができる。より多くの種類の指標に投資することが出来るというメリットがあるが、発行体となる金融機関の信用に基づいて発行されているため、発行体の財務状況が悪化したり、倒産するとETNの価格が下落したり、さらには価値が無くなる恐れがあるといったリスクがある。

いずれも似ているが、“リスクの違い”という重要な相違があるので、こうした取引については今後も注意したい。

今回停止された「Bitcoin Tracker One」と「Ether Tracker One」に加えて、両商品を発行したXBT Provider AB(publ)はその他に「Bitcoin Tracker Euro」と「Ether Tracker Euro」の2つ商品を発行している。

参考:SEC(PDF)