世界的に政府主導の仮想通貨の発行が検討されている。これは、ビットコインのような性質のものではなく、実質法定通貨に基づき等価で扱われると考えられている。
例えばロシアでは自国通貨のルーブルを暗号化、「クリプトルーブル」の発行に向けて開発を進めている。また、スウェーデンでは2018年に自国のデジタル通貨「Eクローナ」の発行をする運びとなっている。中国でも同様に当局が検討していると見られ、他の国でも自国通貨の暗号化に向けて研究・開発が進められている。
Bloombergのインタビューの中で、CitiグループのCEOである、Michael Corbat(マイケル・コルバット)氏は仮想通貨は既存の金融システムに対して脅威だとし、以下のように語った。
「政府は仮想通貨ではなくデジタル通貨(仮想通貨という名称はふさわしくないと思う)を導入するでしょう。」
しかしながら、仮想通貨の根幹技術であるブロックチェーン技術やDLTについては前向きに考えており、Citiグループでは国際送金のプロジェクトにも参加している。
また、Citiだけでなく、ビットコインや仮想通貨に懐疑的な姿勢の金融機関、例えばJPモルガン・チェースなどもブロックチェーンの活用を見出しており、これに限らずさまざまな企業がそのテクノロジーに目を向けている。
一方では、ECB(欧州中央銀行)の副総裁である、Vitor Constancio(ヴィトル・コンスタンシオ)氏の意見では
「中央銀行がブロックチェーン技術を活用し、全ての人が利用できるようにデジタル通貨を無制限に発行すれば大きな混乱につながります。」
とも語っている。ユーロ圏ではまた異なる問題もあるので、コルバット氏とコンスタンシオ氏の見解を比較するのも多少無理があるかもしれないが、国際的にデジタル通貨やブロックチェーンに関心が高まっていることは確かだ。
国によっては政府主導で「デジタル通貨」が発行される日も遠くないと思われる。日本では日銀が実験的にブロックチェーン技術を活用したが、「デジタル円もしくは暗号化円」のようなものは発行されるのだろうか。銀行でも賛否両論飛び交う中、「Jコイン」なども検証されるが、今後の展開が待たれる。