自民党の村井英樹衆議院議員は日本の中央銀行デジタル通貨(CBDC)について来年末には展望が明らかになってくるだろうと語ったことが報じられた。2日に行われたロイター通信とのインタビュー内でCBDCに関して語られ、欧米との相互運用性を高めることで中国に標準技術を握られないようにすることが重要であるとも述べている。
村井議員は金融調査会デジタルマネー推進プロジェクトチームで座長を務めており、CBDCを巡っては日米欧が共同研究を実施し、デジタル人民元へと大きく投資している中国を牽制している。村井議員は「価値観を同じくする国同士で共通の基盤をもち、相互運用性が高い標準技術を確立しなければならない」と発言し、「隣の大国に標準技術を握られないというようにする、そういう大きな視野も必要」と述べている。
また、CBDCには大きく分けて二種類あると言われており、一般人が普段使っている紙幣の代わりとなるようなデジタル通貨である「general purpose CBDC」と、大口決済専用の「wholesale CBDC」があり、大口決済ではすでに現金を使用することはまれであり、デジタル化が進んでいることから、これをブロックチェーンに置き換えるだけのwholesale CBDCは、general purpose CBDCに比べてハードルは低いと見られている。
中国で実証実験が進んでいるデジタル人民元はgeneral purposeを想定されており、中国を強く意識しているデジタル日本円に関してもgeneral purposeは無視できない機能と言える。
村井議員によれば、日本円は現段階では世界で安全通貨として信認されているものの、人民元の存在が大きくなっていき、日本円の地位が揺るがされるようなことがあれば、その影響は日本経済にも波及し、経済が混乱をきたす可能性もあると指摘しており、CBDCを導入するにしても円の信認に悪影響を与えないようにする必要があることを強調した。
また民間発行のステーブルコインについても言及しており、国家の通貨主権を脅かすような存在については一定の規制が必要であるという立場を示した。
2022年末には展望が明らかになっていくだろうと語った村井議員だったが、必ずしもその段階でCBDCを発行するか否かの決断に至るわけではないとしており、あくまでCBDCに対する取り組みを加速していくプロジェクトチームの方向性を示すにとどまった。