インドで財務大臣を務めるニルマラ・シタラマン氏が、世界銀行グループと国際通貨基金(IMF)による年次総会にて、仮想通貨に対して反対の姿勢を強調した。
インド国内において仮想通貨は富裕層による投資先として不動産や株、債券に続いて4番目の人気商品となっている。また、世界の人口数としては第二位を誇っており、韓国の大手仮想通貨取引所であるビッサムが、インドへの進出も決定しているなど仮想通貨に対して人気が高い国でもある。
しかし反対にインド政府としては仮想通貨に否定的で、今年の7月に仮想通貨禁止の法案が出された。専門家委員会によって「保有、販売、取引、マイニング、さらには処分に対して最高で2億5000万ルピー(約4億円)にのぼる罰金や、最長で10年となる懲役刑を課すべき」と意見されており、徹底的と言うより過剰な反応に思える。
また先のニルマラ・シタラマン氏は「仮想通貨に対して世界中が警戒の姿勢を見せている。しかし仮想通貨には良い所もたくさんあり、仮想通貨の明るい未来のためには一致団結する必要がある」とも語っているが、インド政府の否定的な仮想通貨の姿勢が、インド最大手となる仮想通貨取引所のKoinexがインド準備銀行による通知を受けてサービスを終了するなど、実際に市場に悪影響を起こしている。
その他にも閉鎖のみならずビットコイン価格の下落も起きるなど、仮想通貨リサーチ企業クレバコ・グローバルでCEOとして務めるシドハース・ソガニ氏は「仮想通貨が禁止となったら雇用を失い、仮想通貨のシステムを作ってきた能力が国外へ流出し、5年で1080兆円ほどの損失になる」との指摘もしている。
インド政府がもう少し、仮想通貨に対する前向きな取り組みを発表すれば経済も上向きになるはずだが、今後の状況において前向きな予測をする要素が見えない。