アメリカの大手コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーは、ブロックチェーンはまだ多くの人が期待しているほどのゲームチェンジャーにはなっていないと発表した。

ブロックチェーンに限らず、新技術の価値を見出す鍵は、その技術が利用可能な最も簡単な解決策であるときに適用され発揮するものだという。

ブロックチェーンがビジネスの革命として支持され、ビットコインの最初の発表からは10年が経過し、企業やエンジニア、規制当局など多くの人が数え切れないほどの時間を費やしたものの、ほとんどのケースにおいて実態を変えるには至っていないとレポートされている。

これは、ある事象を説明するための修飾子はできる限り少ないほうが良いというオッカムの剃刀という問題に例えられている。ビジネスを実現させるために本当にブロックチェーンが必要なのか、既存の技術で簡単に実装可能なのであれば、まだブロックチェーンが必要なときではないのかもしれない。

ただし、ローンチから10年とは言え、技術サイクルの成熟速度で言えばまだまだ幼児期にあると言えるため、今のつまづきは想定の範囲内でもある。我が世の春を迎えつつあるAIにしても本格的な研究が始まったのは1950年代といわれており、近年まではおもちゃ程度の信頼度しかなかったことを考えると実用化までに50年以上の年月を擁したとも言える。

しかしながら、すべての技術が投資に見合うだけのリターンを得られるとは限らないためブロックチェーンが今後どうなっていくかは未知数なのであろう。

それらの疑問に対して予測を立てるのがアナリストやコンサルタントの役目と言えるだろう。マッキンゼー・アンド・カンパニーも2016年末までは投資が上向いてきていることなどからブロックチェーンの未来に明るいものを感じていたようだが、ここ2年で現場の第一線にいる人々がブロックチェーンに疑問を感じてきていることを報告している。

ビットコインの加熱で見て取れるように、ブロックチェーン最大の期待は金融分野への貢献であるが、エンタープライズレベルのアプリケーションに対応するにはあまりにも未熟であったり、期待されていたほどのコストカットも殆ど見られず、ビジネス面での実用性に関して大きな疑問を残している。

処理のコストカット、高速な価値の移動などは実現され、当初期待されていたようにトランザクション処理に革命は起きるだろうか?現状は次世代技術の一つの候補に過ぎないが、今後の展開によって最適解と生まれ変わる可能性は残されていると記されている。ブロックチェーンが次の段階へと進むためには論理的根拠、資本、そして標準化が必要だという。

ゲームチェンジャーとして鳴り物入りで登場したブロックチェーンだったが、大きな変化を見届けるのはまだ先の話になりそうだ。

参考:McKinsey&Company