Ethereumによるスマートコントラクト上に開発されたブロックチェーンによる宝くじの提供をする「Quanta Lottery」で知られるQuantaがナイジェリアで宝くじを提供しているInternational Lottery and Gaming Limited(ILGL)の株式を取得し買収することを発表した。
ブロックチェーンが一般的なデータベースの代替品としての技術ではなく、ブロックチェーンならではの非中央集権性が求められる分野としてビットコインなど暗号資産に類するものが代表的だが、その後すぐに注目されたのが宝くじなど胴元のいるギャンブルへの応用だった。
ギャンブルとして利用する以上、最も重要なのが公平な乱数の生成手段である。EthereumのスマートコントラクトはProof Of Workの性質上、全てのノードで同一の計算結果を返す必要があるためEthereumのブロックチェーンにスマートコントラクトを書き込むプログラミング言語であるSolidityでは公式に乱数をサポートしていないが、乱数を生成するためのスマートコントラクトであるRandaoにより解決され、QuantaもRandaoに依存することで、完全にブロックチェーンのみで公平な宝くじが実現された。
既にサービスが開始されているQuantaだが、伝統的なオフラインの宝くじのバックグラウンドを提供することで新たな成長が見込まれる。ギャンブルは試行回数を無限に積み重ねていけば確率の収束により胴元が勝利することは約束されているため、あえて危険な橋を渡って大多数相手に八百長を仕込むよりは、公平性を証明することで参入者が増えるのであれば導入したい業界は多いことだろう。
暗号資産よりも更に厳しい規制のもと運用されるはずのギャンブルという分野だけに日本国内において民間から発展する期待は非常に薄いものだが、カジノの解放に伴いブロックチェーンの導入を求める声は内外から上がる可能性も高いのではないだろうか。
参考:CISION