現在多くのヘッジファンドが仮想通貨に数十億ドルという規模の投資を行っているが、自分たちの税金の計算が本当に正しいかどうかを理解している者はどれだけいるだろうか?

ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨と繋がっている機関投資家なら、そのガイドラインの少なさや曖昧さに気付くことだろう。正確にルールを把握しない状態のまま、負債を最小限に抑えようとしているファンドは少なくないと思われる。

アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は今年7月、デジタル通貨は大企業や国際部門を設ける企業などで監査の焦点となる可能性が高いことを発表した。今後、大きな税金請求、または罰金といった税金問題に直面する仮想通貨ファンドも増えてくるのではないだろうか。

この問題が起こったのは、規制当局が仮想通貨に対する見解を定義するのが遅かったことが1つの起因とされている。IRSは仮想通貨を通貨ではなく、別の資産とみなしているが、コモディティ先物取引委員会は、これらはコモディティ(商品)であると述べている。もしコモディティであることにIRSが同意すれば、税制優遇措置が得られる可能性も出てくる。

ノースカロライナ州シャーロットのAlston&Birdの税務弁護士Clay Littlefield氏によると、「IRSの仮想通貨への対応については、まだ不確実なことが多い」と言う。

その通りで、この2年間で多くのヘッジファンドが仮想通貨を取引し始め、それと同時に多くの問題が生じていったが、IRSは依然として問題に取り組めていない状況が続いている。2014年にIRSは、仮想通貨は一般的には税務上の財産として扱われるということを発表したが、それ以来大きな動きはない。

55%も下落した今年でさえ、ビットコインは111.5億ドルという時価総額だ。モルガン・スタンレーによると、2017年には84もの投資会社が仮想通貨ヘッジファンドを立ち上げており、約20億ドルの仮想通貨を保有しているとも見積もっている。

仮想通貨は財産か、商品か、新しい税法は導入されるのか、などなど。連邦当局者には明快さが求められている。業界がここまでの規模にまでなった今、その税金事情は多くの人の懸念事項となっている。

参考:Bloomberg