空前の暗号通貨ブームとも言える現状で特に注目を集める存在なのがビットコイン、イーサリアムの2大巨頭だ。コロナウイルスのパンデミックに端を発する暗号通貨バブル景気だが、ビットコインが4月半ばにピークを迎え、一旦の大幅下落を迎えたものの現在600万円近辺を行き来しているのに対して、イーサリアムは上昇を止める兆しがいまだ見られない。

これまで概ねビットコインとイーサリアムは似たようなグラフを描いてきていただけに、ようやくそれぞれが暗号通貨という一括のカテゴライズから独立したように見えるが、果たしてなぜイーサリアムが伸び続けることになったのか。

投資運用会社Ark Investがその理由について3つ語っている。一つは組織の関心の高まり、もう一つが強力なオンチェーンシグナル、そして差し迫ったプロトコルのアップグレードの3点にあるという。

Ark Investの報告によれば現在イーサリアムは機関投資家による注目を集めるほか、欧州投資銀行は4月末にイーサリアムを利用して構築された新しいタイプのデジタル債券を発行したと発表。そしてクレジットカード決済大手のVisaは3月にイーサリアムブロックチェーンを介した決済を行うなど、企業による関心の高まりも目立つ。

そして2番目の理由として挙げられたオンチェーンシグナルについて、アナリストは「アクティブなウォレット数や合計取引手数料で示されるように、イーサリアムネットワークの利用量は増加しており、いくつかの指標においてビットコインを上回っている」と指摘している。

ユーザーによって利用される一因として分散型金融(DeFi)需要の高まりと、著名人による非代替トークンのリリースなどが挙げられた。

最後にプロトコルアップグレードが差し迫っていることを挙げており、このアップグレードによりイーサリアムのエコシステムにデフレがもたらされるとしている。

イーサリアム改善提案(EIP)1559に策定されたプロトコルのアップグレードは7月の適用が予定されており、これによりイーサリアムの取引手数料モデルが大幅に変更され、これまでマイナーへと循環していた手数料の一部は焼却されるようになることで、イーサリアムにデフレをもたらし、単価が上昇していると指摘した。

このプロトコルのアップグレードはビットコインでいうところの半減期に似た効果をもたらすためイーサリアムの相場上昇に繋がっているとアナリストは指摘した。