近年注目の集まる「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けて大きなファクターとされる「気候変動」への対策は世界中が解決に向けて課題と解決策を模索している最中である。

昨年政権交代を果たした米国・民主党は特に気候変動に対する取り組みを重視しており、取り組みを実現するための法案をいくつも導入してきているが、今回新たにビットコインマイニング設備に制限をかける提案が挙げられた。

ニューヨーク州のKevin Parker上院議員は、ニューヨーク州内にあるマイニング施設に対して運用停止を求める考えを示した。Parker議員はビットコインマイニングが環境に悪影響を与えていると考えており、州の温室効果ガス排出目標を達成するために規制の必要を訴えた。マイニングの停止には3年間の猶予を設ける考えも提案した。

膨大な計算量の要求はビットコインブロックチェーンの正当性を担保するための骨子であり、ビットコインと環境問題は切っても切り離せない関係となってきている。

ニューヨーク州は2050年までに温室効果ガスの排出をネットゼロにする目標を掲げた法案「Climate Leadership and Community Protection Act(CLCPA)」を2019年に承認しており、CLCPAを実現する上でも、また地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」を達成する上でも、エネルギー政策を脅かすものだと指摘した。

特にパリ協定は本来2020年以降の取り組みについて策定された枠組みであるにも関わらず現段階では達成には“程遠い”と事務局から指摘され、CO2主要排出国は対応が迫られているところでもある。

こういった中で主要国家の主要都市であるニューヨークがビットコインマイニングの停止に踏み切った際に、他の国家・地域がどのような対応をしていくかが特に注目となる。

実際にマイニング拠点として好まれるのは電力料金の低い地域であり、そういった意味ではニューヨークは適しておらず、気候変動においては主要地域といえど、マイニングにおいてもそうとは一概にいえない。

ニューヨークの動きに追随する地域もあるかもしれないが、反対に“競争相手の脱落”と見て表立って注力はしないまでも、CO2排出量に余裕のある地域では見て見ぬ振りをする可能性もないわけではない。