中央銀行デジタル通貨(CBDC)において利用者のプライバシーは大きな課題として挙げられる一つの議題である。

行政側からみれば資金移動の完璧な追跡は正確な徴税などのために役立つこともあるが、利用者からすれば法に触れないまでも追跡されたくない資金移動などが考えられるだけに、全てにおいてプライバシーを明け渡すのは否定的である。

中国人民銀行の運営するデジタル通貨研究所所長はデジタル人民元について完全な匿名ではないと断りつつ、制御可能なプライバシー保護を提供すると語っている。

完全な匿名通貨が不可能な理由としてマネーロンダリング防止のための本人確認(KYC)や、テロ対策資金調達への対策措置に準拠させる必要があるためだと述べた。

一方でプライバシーを重視する利用者の観点からすると完全なオープンにすることは利用者を極めて限定的に制限することに繋がるため、対案として「制御可能な匿名化」テクノロジーを実装させることを明らかにした。

具体的なプライバシー保護策に関してはKYCの強度によりウォレットの機能を段階的に強化していく考えもあかし、例えば携帯電話番号と連携することで日々の生活には十分な額のトランザクションが可能になるが、大掛かりな送金を行いたい場合はさらなる資料を提出する必要があるなど、ウォレット残高とKYC強度の相関関係について語られた。

現状では通信事業者は中央銀行を含めて第三者に携帯電話番号と紐付いた顧客情報を開示することは許可されておらず、デジタル人民元の利用情報もまた通信事業者へと開示されることもないため、携帯電話連携で利用されるウォレットに関しては完全に匿名で利用できると説明した。