2021年に入り暗号通貨分野が様々な盛り上がりを見せているが、著名人の間に広がる非代替トークン(NFT)の仕組みもその一つである。

アメリカでは過去数週間の間にミュージシャンやアーティスト、プロスポーツ選手などの著名人が固有のNFTを発行し、それぞれのファンへ価値を提供してきている。

NFTでは同じ種類のトークンであってもそれぞれが固有の識別子を持っており、例えばファンクラブの会員証をNFTで実装すれば通し番号の若いトークンほどファンの間では価値の高いものとなるなど、代替不可能であるからこそ意味のあるトークンを作り出すことは著名人とファンとの関係性を高めるために有意義になる可能性が高い技術と言える。

一方でNFTによる独自性を付加したとしてもデジタルデータである以上、インターネット上のJPGやPNGを右クリックして保存して手に入れたありふれた画像と変わらないという批判もあり、NFTによる価値創出に懐疑的な意見もある。

ただしこういった主張はデジタル世界に限った問題ではなく、一般的なトレーディングカードは価値を感じない人からすれば数円程度の印刷物でしかないが、価値を知っている者同士の間ではそれが数万円の価値を秘めている可能性があるものだということが知られている。

NFTでも同様にトレーディングカードを実装する動きもみられ、プロスポーツチームの各選手の紹介カードをNFT化し販売、ユーザー同士のトレードを可能にしている。

また、ミュージシャンのリリースした新譜のアルバムアートワークに独占的にアクセスできる権利をNFTとして販売するなど、特典としてNFTを利用する動きも見られる。

その他にも様々なNFTの活用方法が目論まれているが、日本においては未だそういった活動は一般的ではない。ファンによるコンテンツの買い支えはAKBなどのアイドル文化などで下地ができてきているものの、マネタイズに対して警戒心の強い部分もあるため、誰が口火を切るのが牽制しているところもあるかもしれない。