日本音楽著作権協会(JASRAC)がブロックチェーンを活用した音楽作品情報の登録と共有に関する実証実験を実施することを2月4日に発表した。実証実験は2月から3月にかけて実施される。

JASRACはかねてからブロックチェーン技術に注目しており、2018年度には著作物使用料の取引記録の管理へのブロックチェーンの活用に関する検証を実施していた。

また、2019年10月からは権利者への対価還元、つまり著作物使用料の分配の質と量を高めることを目的として検証を行っており、今回の検証もその一環として実施される。コンセプトとして、オープンかつ安全性の高い環境でデータを流通させることで複数の関係者間でデータの内容を保証出来ることを期待している。

著作権に関しては音楽分野のみならず様々なジャンルにおいて問題が頻出しており、ブートレグや海賊版といった非正規品を有料で提供するマーケットも後をたたない。ブロックチェーン技術の応用で著作権管理の弱点を克服できる可能性をJASRACは見出しており、これに成功すれば絵画・書籍・映画などデジタルに展開している分野ではすぐあとに続くことも出来るだろう。

権利者保護のためにもJASRACのような団体が必要であることは間違いのないところだが、一方でJASRACに対する人々の不信感というものがある。例えば著作物使用料など徴収した収益がJASRACと音楽出版社やアーティストなどの間でどのように分配されているか、包括契約できちんと小規模権利者に対しても正当なサイズで還元がされているかなどだ。

ブロックチェーン技術によるオープン化は、こういった問題の解決や公平性に向けられてもいる。

発展途上国においては正規流通品が高額なため手が出せないといった背景もあり、非正規品と規制のいたちごっこもあったが、権利者側からは音楽のサブスクリプション配信といった回答も用意された。

著作権管理団体からのアプローチで今後新たな視聴方法が生まれるようなことも考えられるだろう。ブロックチェーン技術の研究を続けるJASRACの今後の発表には注目が集まる。

参考:JASRAC