ロシア連邦中央銀行の情報セキュリティ部門の第1副ディレクターであるアルテム・シチョフ氏が、ロシアでは犯罪者が盗んだ資金を引き出すために仮想通貨を利用するケースはほとんどないと言及した。地元紙のタス通信により伝えられた。

同氏はサイバー犯罪にかかわる資金の引き出し手法を監視し、その対策をしているとしており、犯罪者は現金化することを好むと述べている。

その理由として、盗んだ資金を仮想通貨で引き出すのは非常にまれであり、時に利用されるが、普及せず、攻撃者にとって現金化の方がはるかに簡単だからとしている。

シチョフ氏は詐欺師は盗んだ資金を引き出すのに利用している銀行カードをせいぜい2~4回利用して破棄しているとも指摘している。

さらに人工知能(AI)やロボット化など、近い将来にどの技術が発展するのかが重要でなく、攻撃者が攻撃だけでなく資金の引き出し方法にどの技法や手法をしていくのかを理解するのが我々にとって重要であり、もし攻撃者がある特定の方法で資金を素早く引き出す方法を知ったら、それに対してさらなる対策を講じるとしている。

実際犯罪者がどのように資金を盗むのかを焦点に置き、調査するのが犯罪を撲滅するために重要であり、新しい技術の発展に犯罪者が関わるのであれば、それに対し対処するのは当たり前とも言える。

仮想通貨はプライバシー問題に対しメリットがありつつも、国によっては利用者が必ず身分証明を開示するよう提示されているために、隠れて犯罪を犯す者にとって厄介な存在ともいえる。

そのために現金が好まれることもあり、日本においてもキャッシュレス化が進むにあたり、プライバシーの観点においても見直される傾向が高まるとの見方もある。

個人情報とキャッシュレス化に伴い、国民がどのように資金を使っていくのか、さらに巨額な資金の流れを見ることで、違法取引が行われているのか監視される状態に、私たちはさらされることにもなる。現金の流れを把握するにはどうすればいいのか、今後さらなる監視方法が検討されるに違いない。

参考:タス通信