暗号通貨マイニング機器の最大の製造業者であるBitmainは、今年の夏に中国で予想される電力コストの低下を見越して、マイニングを拡大していく計画を立ち上げていることが明らかになった。21日、米仮想通貨ニュースメディアCoindeskが報じた。

Bitmainの計画に精通している中国南西部のマイニング管理者によると、同社は夏季に水力発電によって電力コストが下がるのを利用し、同地域に約20万台の自社マイニング製品を配備する予定だという。

四川省や雲南省を含む中国南西部の雨季の時期は例年5月頃とされており、Bitmainはそれまでに十分な設備を整えられるようにすでに準備を進めている段階だ。

同社は「AntMiner S11」や「S15」といった自社の新モデルの製品をはじめ、「AntMiner S9i/j」といった古いモデルの製品を主に使用する予定である。すでに最新のモデルS11、S15、T15はすべてBitmainのオンラインショップで売り切れとなっており、購入することはできなくなっている。なお、同社がどの暗号通貨をマイニングするかは現段階では不明である。

Bitmainの主な収益はこうした製品の販売から来るため、企業にとっては無視できない機会費用となる。「S9j」と「S11」は、それぞれWebサイトで400ドルと500ドルで販売されており、「S15」は1000ドルとなっている。これが約20万台全てが売れたとすると、およそ8,000万ドルから1億ドルもの売り上げになる。

しかし、製品販売の弱気市場を考えると、製品を使ってマイニングをする方がよっぽど利益となり得るとも言えるだろう。

世界最大規模のマイニングプールF2Poolによれば、1キロワット時あたりの基準電力が0.05ドルだと基づいた場合、それぞれ1日当たりの計算で「S9j」が0.87ドル、「S11」が1.8ドル、「S15」が2.88ドルの利益を生み出すことができるとされている。

マイニング管理者によると、夏の電力の平均コストは1キロワット時当たり約0.037ドルだという。それをf2poolの指数計算式に取り入れると、「S9j」が1.29ドル、「S11」が2.24ドル、「S15」が3.38ドルの利益を生み出す計算になる。

20万台のマシンがすべてローエンドの「S9j」であると仮定しても、潜在的にBitmainにとって毎月約770万ドルの利益をもたらすことになる。

Bitmainが最終的にどのような取引を行うかは明らかではないが、同社にとって大きな収益機会の可能性となりそうだ。

参考:CoinDesk