キャッシュレス化が進められている昨今、様々な金融機関が独自の電子通貨を発表しているが、地域限定での電子通貨の普及も同様に弾みがついてきている。

日刊ゲンダイDIGITALの報道によれば、千葉県木更津市の「アクアコイン」、岐阜県飛騨市の「さるぼぼコイン」が地域通貨として実際に使われ始めているという。

地域通貨はビットコインのように大きく価格変動することなく設計されている。木更津市のアクアコインは1アクアコインに対し1円の価値で利用できるステーブルコインとして日本円にペッグされている作りだ。

アクアコインは取扱店の店頭に置いてあるQRコードを読みこみ、スマートフォン内のコインで決済することで買い物をすることができる。取扱店は随時コインを換金できる仕組みとなっているため、店側としても安心して導入することができる。

木更津市産業振興課の公表によると、昨年3月~6月までの3か月間実証実験したところ、4,000万円以上の利用があったという。さらに、本格導入後は飲食店、ホテル、病院など416店舗が加盟しており7,000万円のチャージでうち6,000万円は買い物で使われているという。

アクアコインの使用は現地の住民以外に、観光客も利用することができ、2月1日から3月31日まではキャンペーンとして購入額の5%のアクアポイントが還元されるため、地域活性化に向けて起爆剤ともなりうるだろう。

同じような試みとして岐阜県飛騨市では、飛騨信用組合との協力で昨年12月から金融機関初の電子地域通貨、さるぼぼコインを導入している。現在加盟店は900店舗、利用者数は6,500人にものぼり、チャージ額は5.9億円に達し、すでに5.4億円が決済利用されている。

地域の金融機関にとっては新たな収入源に結び付くこともあり、地方の自治体にとっては宣伝効果や人々が市内での買い物をすることで経済の活性化が見込めるため、大きく期待されている。

現在、地方自治体にとってふるさと納税による税収入がありつつも、担当の政府機関である総務省がルール作りを改定することから、収入が増えてくるかは不透明なところが出てきている。

地域通貨のファンが今後増えてくれば、ふるさと納税以外に新たな税収入となりうる可能性も考えられる。今後、他の自治体も参考にし、導入に向け前向きな姿勢を取るところも増えてくることだろう。

参考:日刊ゲンダイDIGITAL