IBMが、オーストラリアのメルボルンにあるデータセンターからブロックチェーンのメインネット(独立した正式なブロックチェーン)をローンチしたことが明らかになった。11日、米ニュースサイトのZDNetが報じた。

同プラットフォームは、Hyperledger Fabricを利用したブロックチェーンをクラウド上で利用できるというサービスだ。3月末にはシドニーのデータセンターでも同様のサービスを提供するとしている。

オーストラリアとニュージーランドのIBMブロックチェーン責任者であるRupert Colchester氏はZDNetの取材に対し、「同センターのこの技術をより広く利用できるようにし、冗長性を提供する」と語った。

この物理的インフラストラクチャの確立により、顧客データは国境を越える必要性がなくなり、政府や金融サービスの規制されたアプリケーションに十分なセキュリティの提供が可能となる。

ブロックチェーン技術はオーストラリアですでに多くの業界で広く適用されており、「かなり活発」であるとColchester氏は付け加えた。さらに、「私は最近はほとんど教育セッションというのを行わない。しかし、クライアントが持っているビジネス上の問題にそれを適用することができる最善の方法を理解しようとするため、多くの議論を行っている。」と語った。

IBMは現在、ブロックチェーン技術の使用を積極的に拡大していっている。1月31日、IBMはブロックチェーンベースの試験を完了させ、同技術を使用し中国からシンガポールに108,000本のみかんの出荷を成功させている。この技術により、事務処理と出荷にかかるコストが大幅に削減されたとされている。

2月8日には、IBMは米国カリフォルニア州で干ばつに対処するためブロックチェーンと"物のインターネット(IoT)"を使用するプロジェクトが進行中であることを発表した。IBMリサーチと深く関わるセンサー技術を提供するスタートアップ「SweetSense」は、コロラド大学ボルダー校および非営利団体のFreshwater Trustと提携して、地下水の使用・管理を行うためにブロックチェーンとIoTの技術を使用したプロジェクトを行っている。

IT企業の中でも大手であるIBMが積極的にブロックチェーンを取り入れた製品を開発することにより、ブロックチェーンが利用される例は今後も増えていく可能性が高そうだ。

参考:ZD Net