金融テクノロジー開発と金融サービスを提供するSolidX Partners社のCEOであるDaniel H. Gallancy氏によると、ゴールドマン・サックス社が即座にビットコイン関連事業を開始するという話は現実的ではないという。23日、ブルームバーグに対して語った。

米国市場でビットコインETF(上場投資信託)を導入するために大手投資会社VanEckと協力するなど、ビットコイン関連事業の促進を積極的に進めてきたGallancy氏。同氏は「市場はゴールドマン・サックスやその仲間たちが即座にビットコイン取引事業を始めるという非現実的な期待を持っていました。それは市場のトップに対する過大な期待をするという考えです。」と語り、多くの投資家はゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの大手金融機関に対してビットコインのカストディ・ソリューションやデジタル資産の取引の早期実現を期待し過ぎていると説明した。

実際、モルガン・スタンレーやシティグループといったような大手金融機関が2018年末までにはビットコイン関連のベンチャーを立ち上げるという噂は広まっていたし、多くのメディアもそれを取り上げていた。しかし、蓋を開けてみれば、まだ初期段階である市場に積極的に参入してくるということはなく、現在も慎重な姿勢が続いている。

ゴールドマン・サックスのCEOであるDavid Solomon氏は今年6月に、近い将来に顧客のために仮想通貨取引デスクを設置し、ビットコイン先物を提供することを検討していると語ったが、9月には取引デスクの開設を延期する発表を行っており、「私達はビットコインに関する未来について話し合ってはおりますが、非常に慎重に、用心深く進めております。」と語り、あくまで慎重な姿勢であることを示した。

ゴールドマン・サックスは5月以降、シカゴオプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が提供するビットコイン先物を顧客の代わりに取引するサービスを開始したが、現物取引はまだ始めておらず検討されているカストディサービスについても未だ提供の目処は立っていない状況だ。

11月には、ゴールドマン・サックスの幹部であるJustin Schmidt氏が「銀行は金融当局から承認を受けることが出来ておりません。デジタル資産の法的定義に関する法案が保留中である以上、市場でサービスを提供するのはリスクがあります。」と述べ、法的な環境が整っていない点が積極的になれない理由の一つであるとも指摘した。

今はすぐにサービスが提供できる状況ではないが、ゴールドマン・サックスを始めとして多くの金融機関は市場の長期的な展望を真剣に検討しており、長期的にはデジタル資産市場の投資家にサービスを提供することができる見通しであるが、早期実現に期待するのは酷かもしれない。

参考:Bloomberg