連邦準備制度(FRB)の元議長Janet Yellen氏は29日、カナダのモントリオールで行われたFintechフォーラムにてビットコイン(BTC)の懸念と中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)について語った。

Yellen氏は1967年に名門ブラウン大学を卒業し、1971年にYale大学で経済学博士号を取得し、その後も様々な名誉学位を取得してきた研究員だ。2004年から2010年まではサンフランシスコ連邦準備銀行の会長兼最高経営責任者を務め、2014年から2018年までは連邦準備制度理事会の議長を務めるという華々しい経歴を持つアメリカ経済界の著名人である。

フォーラム初日のスピーカーとして登壇したYellen氏は、約5分間のスピーチの中で価格変動や投資家のリスク、ハッキングの脅威など、ビットコインの様々な懸念について語った。

「私自身は(ビットコインの)ファンではありません。その理由を述べたいと思います。現在何百もの仮想通貨が存在し、確かに中には魅力的なものがいくつかあるかもしれません。しかし、ビットコインについては、実際にビットコインで処理される取引はごくわずかであり、その取引の多くは違法で不正な取引です。」

「有用な通貨になるためには、安定した価値の源泉でなければなりませんが、ビットコインはそうではありません。多くの取引に使用されているわけでもなければ、価値の安定した源泉でもありません。支払いを処理するための効率的な手段とは言えず、支払い処理も遅いです。」

Yellen氏はこれまでの議会でもビットコインを「非常に投機的な資産」と記述してきており、ビットコインについては懐疑的な見解を示してきた。今回もビットコインの支払いシステムとしての役割が小さい点を指摘し、加えて伝統的な支払い方法と比較して非常にエネルギー使用量が多い点なども強調した。

中央銀行のデジタル通貨に関しても、「財政の安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。」とし、やはり懐疑的な見解を示した。

「現金のデジタル版を導入するにあたっては、匿名の通貨とテロリストの資金調達、マネーロンダリング、銀行秘密法の懸念が巨大化するでしょう。」

仮想通貨の匿名性のため、それがマネーロンダリングのような不正の温床になることを指摘し、他にも、サイバーセキュリティを中心とした懸念などを展開し、ビットコインに対して改めて懐疑的な見方を示した。

参考:CoinDesk