米半導体大手のAMDは24日、2018会計年度第3四半期決算を発表した。仮想通貨マイニングの需要減少と市場の下落により、売上は大きな打撃を受けたという。

同社の発表によれば、第3四半期売上高は前年同期比4%増の16億5,000万ドル(約1,853億円)となったが、アナリストが予想していた17億ドル(約1,900億円)に達する見通しには至っていないという。この不足は、仮想通貨マイニングで使われるグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)の需要の減少があったからだと指摘した。

「第3四半期のブロックチェーン関連のGPUの売上はわずかでした。2017年の第3四半期には、ブロックチェーン関連のGPUの売上高は、AMDの売上全体の約1桁台後半の割合を占めていました。第1四半期の減少は、在庫の多さが原因で売上が落ち込んだことによるものです。」

AMDとライバルのチップメーカーNvidiaも、昨年は急増する仮想通貨市場の巨大な受益者となった。2017年の後半には店頭在庫がなくなり、グラフィックスカードの価格も急騰した。しかし、コインの価格と同様に、2018年は両社にとって昨年とは全く逆の結果となった。

テクノロジー・株式調査を専門とする金融サービス会社Summit Insights GroupのアナリストKinngai Chan氏は、ロイター通信に対し「失敗はGPUが原因でしょう。AMDは仮想通貨市場へのエクスポージャーが高すぎました。さらに、彼らはPCゲーム市場で競争力のあるラインナップを持っていませんからね。」と語った。

他にも、2018年前半に、GPUよりも効率的な仮想通貨マイニング用のASICチップへ切り替える流れがあったことも売上に影響したと言われている。とは言え、AMDの株価は足元で下げ基調にあるが、年初来で2.08倍の上昇を記録しており好業績だ。

AMDやNvidiaといった大手はまだ良いが、大手以外の会社はマイニングで利益を上げることができなくなれば脱落していく可能性は高い。そうなれば決まった企業にマイニング事業が一極集中していく可能性もある。マイニング機器市場の動向については、十分注視していく必要がありそうだ。

参考:AMD