IBMのブロックチェーン部門は、個人が個人情報をより詳細に管理できるように設計された「自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity、SSI)」の普及に関するプレスリリースを4日に発表した。

IBMは6日、iOSとAndroidのモバイルデバイスで利用できるようになった#My31というアプリケーションをリリースしたHu-manity.coという会社との協力を明らかにした。この#My31というアプリ名は、すでに国連によって批准されている30条に加えて、自分のデータの法的所有権が「第31の人権」であるという考えを暗示してネーミングされたとのこと。

この最新のアプリケーションは、IBMが近年関わってきたいくつかのプロジェクトに似ており、例えばカナダにてデジタルIDシステムを構築している銀行コンソーシアムのSecureKeyや、Hyperledgerベースのブロックチェーン向けのIndyツールキットの貢献者であるSovrinなどが含まれている。

このように、Hu-manityとパートナーシップを結んだことから、IBMは分散型台帳のこのユースケースで長期的なビジネス価値を見ているという強い信念が見られる。IBMのブロックチェーン部門のジェネラル・マネージャー(GM)であるMarie Wieck氏は、米大手の仮想通貨メディアのCoinDeskに対し、以下のようにコメントした。

「許可された“人々の権利”をブロックチェーン上に載せていくことは、市場を作っていくし、結果として全く新しい経済的ビジネスモデルを創造していくことでしょう。」

Hu-manityの創設者兼CEOであるRichie Etwaru氏も、同様に広範なビジョンを持っており、データや権利について以下のように語った。

「データは天然資源であり、天然資源と同様に、採掘されなくてはならない。個々のデータに対する権利の概念と組み合わさったブロックチェーンは、その情報を分散して安全かつ大規模に共有することを容易にする。」

健康記録データの確立された市場から始めて、彼は、位置データ、検索履歴、および電子商取引の習慣がユーザーによって「所有」されることを期待していると述べた。

Hu-manityのユーザーは、不動産に類似した所有権のタイトルを受け取ることになる。その後、個人の詳細、署名、写真などをブロックチェーン上で、個人のデータ共有設定などに追加することができる。誰かのデータを使用する許可の付与と取り消しを記録しているHu-manity.coの同意書は、Hyperledger Fabricを使用しているIBMのブロックチェーンプラットフォーム上に構築されており、両社ともSovrinとの協力で行われる。

また、Hu-manityのアプリケーションは消費者に向けてのものであるが、エンタープライズ版は2019年の第1四半期に医療業界へ向けたものとしてリリースを開始すると、Wieck氏は続けて述べた。

「エンドバイヤーは、このデータを使用することでコンプライアンス態勢を改善でき、個人とバイヤーの間の経済性を把握することができる。製薬業界では、これまで個人と明示的に同意した関係が提供されたことはなかった。」

参考:CoinDesk