中国のアリババグループの金融関連会社Ant Financialは、中国の都市である武昌区(ウーチャン)との提携を発表し、お米の生産、品質、出荷を追跡するブロックチェーン・サービスのアプリケーションを開始した。28日、中国のメディアtech.huanqiuが発表した。

武昌区は、中国国内で最高品質の米を栽培していると伝えられているが、ここ数年、米の出荷は低品質の米と混ぜ合わされているというニュースが報じられ、米の偽装問題が浮上している。

今回発表されたブロックチェーン・サービスのアプリケーションは、こうした食品の偽装品の対策にもなる。すべての武昌区の米の袋には固有の識別コードが与えられ、消費者はスマートフォンのアプリを使ってこのコードをスキャンすることができ、米を購入することができる。

彼らはまた、米が栽培された種子や肥料だけでなく、その米が作れられた畑を見ることもできるという。さらに、ブロックチェーン技術を導入することで従来3~7日かかっていた配送時間を、2日以内に短縮することも可能であるという。

過去に食品の品質や出荷を追跡するためにブロックチェーン技術が使用された例はいくつかある。2016年9月、ETHNewsは、サプライチェーン企業のProvenanceがインドネシアの魚介類の品質を追跡するためのモバイルブロックチェーン技術を使用した試験を実施したと報告している。

2017年3月には、Alibabaは中国の偽造食品販売対策として、オーストラリアの郵便会社と自然健康会社のBlackmoresと協力し、ブロックチェーン技術を採用している。今年7月には、英国の食品規格局(FSA)が、畜牛の屠殺場での規制遵守状況を監視するブロックチェーンプラットフォームを使用して、試験を成功させている。

武昌産の米産業が全国への長距離配送方法を変更したのは今回が初めてとなる。ブロックチェーン技術の導入で、偽装防止だけでなく、時間の短縮を可能にしたことにより、コストの削減までも可能にした。

中国の食品の品質管理問題は度々取り上げられているが、同技術の導入が業界で広まれば、中国食品の全体的品質水準は高まり、食品の安全性が改善され、食品の生産・流通秩序が好転していく可能性は高そうだ。

参考:ETHNews