タイの中央銀行であるタイ銀行(Bank of Thailand、以下BOT)は21日、仮想通貨の試験的なプログラムの大幅な進展が達成されたことを発表した。

21日に発表されたプレスリリースによると、BOTはタイの金融機関8社とパートナーシップを契約したという。このパートナーシップは、“プロジェクト・インタノン”と呼ばれる中央銀行のデジタル通貨(CBDC)の発行が目的とされている。

この計画は、フィンテック企業のR3が開発したコーダ(Corda)と呼ばれる独自の分散型台帳技術(DLT)プラットフォームを用いての実行が検討されている。以下はプレスリリースで発表された内容の一部である。

「プロジェクト・インタノンの成果と見識は、タイの将来の金融市場インフラの設計に貢献するだろう。これは、カナダ銀行、香港の通貨当局、シンガポール通貨当局など、他の中央銀行が行った同様のプロジェクトに沿っている。同プロジェクトに加えて、経営効率を向上させるためにBOTは政府の貯蓄債券売却のためのDLTの実証実験を実施している。」

BOTは、パートナーシップを結んだ機関と共に概念実証プロトタイプの設計、開発、テストを行うことを計画しており、このプロトタイプは、CBDCなど国内の卸売ファンドの移動を容易にしてくれるという。

試験的な活動の大部分は、流動性貯蓄メカニズムと、リスク管理戦略に焦点を当てている。同プロジェクトの第1段階は、2019年3月末までに完了する予定であり、完了後はBOTはプロジェクトの詳細な要約を公表する予定であるという。

タイ政府は今年6月に、取引とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の両方をカバーする国の仮想通貨の計画に関する詳細な枠組みを公開した。また、タイの証券取引委員会(SEC)も、仮想通貨取引所やブローカーの財務基準を設定するとともに、国内でICOを実施するプロジェクトを検討しながら、7つの仮想通貨を承認した。

タイの仮想通貨市場が大きく動き始めてきているが、果たして国家発行のデジタル通貨は発行されるのか?今後もプロジェクトの動向に注目したい。

参考:Bank of Thailand(PDF)