先日、国際決済銀行(BIS)が仮想通貨に対して「仮想通貨のネットワークは脆弱」として年次報告書で発表した。この発表に対して、多くの仮想通貨のプロやマニアたちが反応を示した。

仮想通貨を専門とする投資会社BKCM LLCの創設者兼CEOであるBrian Kelly氏は、この報告を強く批判した。というのも、BISは1930年に設立された中央銀行相互の決済をする組織であるが、仮想通貨の誕生により自分らの利権が脅かされているため、仮想通貨に対して良い声明を出すわけはないということをまず指摘した。

仮想通貨の背景にある優れた技術は、現在の金融システムを変える大きな可能性を秘めている。金融システムの安定性を脅かす恐れがある以上、たとえ優れた技術だとしてもすんなりと受け入れる訳にはいかないだろう。

「技術が市場と価格を先取りしたのです。1981年、サンフランシスコのある審査官がオンラインで新聞をダウンロードしましたが、ダウンロードするのに2時間半を要しました。画像のダウンロードともなるとさらに時間かかります。当時の人々は決して上手くいかないと考えておりました。これは現在のビットコインの境遇と同じです。一歩踏み出す必要があるのです。技術が成長するにつれ、よりたくさんの利用が可能になってくるでしょう。」

そう語ったKelly氏は、かつてP2Pで音楽を無料で共有できるアプリケーションの“Napster”とビットコインが似ている点を指摘し、ビットコインは“Napsterのお金版”であると説明した。

新しい技術の誕生により多くのプラットフォームが閉鎖に追い込まれたが、一部同様のモデルで管理されているものは消えずに浮上していった。例えば、Ares、Kazaa、Emule、Torrentといったネットワークは、情報を共有する方法に革命をもたらしていった。

Kelly氏の発言について、Twitter上でさっそく多くの反応があった。「ビットコインに対して訴訟を起こすことはできないので、Napsterのように閉鎖されることはない。一緒にするのは間違っている。」といった反応に対して、オーストラリアの実業家で、ビットコイン発明者の「サトシ・ナカモト」だと名乗りでたことで話題となったCraig Wright氏が、「ビットコインは商用システムで動いている。ビットコインの停止は可能だ。規模が大きければ機能するが、規模が小さくなり、マイナーもいなくなれば、価値もなくなる。」といった持論を述べるなど、多くの議論が交わされた。

ある者は、「音楽業界がNapsterを潰し、映画業界がBitTorrentを潰し、金融業界がビットコインを潰す。端緒を見分けることが出来ない老害がいるだけ。とくに驚くようなことでもない。」と呟き、BISの批判は予測できたとも捉えられる呟きも残している。

BISは金融システムを変えてしまう可能性を否定しているというわけではなく、技術が成熟していないがために、それが間接的に発生してしまう可能性があるということに対して警告をしている。しかし、仮想通貨自体は発展しており、警戒感を募ることにも疑問を持つ者も増えてくるだろう。依然として警戒姿勢を取るBISの今後の進捗が見守られる。

参考:ETHEREUM WORLD NEWS