中央銀行相互の決済をする国際決済銀行(BIS)が年次報告書の中で、仮想通貨は規模の拡大に耐えられないだろうと結論づけたと18日、Reutersが伝えた。仮想通貨ユーザーの増加に伴い、仮想通貨への信頼と効率性は損なわれるという。

BISは、通貨が幅広く流通するためにその通貨の安定性に対する信頼性と効率的な規模の拡大が大事と指摘した上で、仮想通貨はその非中央集権的なネットワークの脆弱性からすぐに信頼を失う可能性があると主張している。さらに非中央集権的なネットワークは、仮想通貨にとって強みではなく弱点になりうると見ている。

台帳の数が増えてくればスマートフォンからサーバーまでがパンクすることになり、さらにインターネットが止まる可能性があるとし、個人間支払いの最終的な承認方法が課題となるだけでなく、単純に機能しなくなって完全に価値を失う可能性があると警告している。

BISのリサーチ部門責任者のヒュン・ソン・シン氏は、通貨はユーザーがいるからこそ価値があるが、ユーザーにとって仮想通貨を持つ理由は純粋な投機目的だろうと発言し、“野球選手のカード”や“たまごっち”を引き合いに出し、ユーザーがいなければ価値のないトークンに過ぎず、それは法定通貨であろうとデジタル通貨であろうとユーザーがいなくなれば価値はなくなると主張している。

さらにBISは、いわゆるマイナーに取引の承認を頼っている仕組み(PoW)について膨大なコストやエネルギーの消費量がかかることから欠陥があると指摘し、環境にとって大惨事になりうるという見解を明らかにしている。

BISはこれまでも仮想通貨に懐疑的で、3月の報告書によれば各国の中央銀行に対し中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に対し慎重な姿勢を促している。

さらに2月にはジェネラルマネージャーである、アグスティン・カルステンス氏が、「ビットコインはバブル・ポンジススキーム・環境破壊の複合体」と批判し、各国の中央銀行総裁に仮想通貨に対する規制をより強化するように求めている。

BISの見解を他所に、仮想通貨自体は発展しており、新しいものに対して保守的な陣営は警戒感を募るのが今までの流れであることから、将来的にはこのような発言も徐々に少なくなってくるだろうか。

参考:Reuters