エストニアの電力会社であるエストニア電力(Eesti Energia)が、風力発電を利用した仮想通貨のマイニング(採掘)を開始したことが分かった。14日、AFPが伝えた。

エストニア西岸沖のサーレマー島にある、風力タービン7基、発電能力6メガワットのサルメ風力発電所にマイニング機を設置し、安価な風力発電を利用して、24時間体制で仮想通貨マイニングをする。

エストニア電力のオレグ・ソナジェルク取締役は次世代技術間の相乗効果をより多く見いだせれば、将来におけるわれわれの競争力は高まると語った。

マイニングの電力消費量が多いビットコインのネットワークは現在年間およそ2.55ギガワットの電力を消費しており、例を挙げるとアイスランド全体の年間電力消費量は平均で3.1ギガワットとなっている。

電力が豊富で安価な拠点を求めることはマイニング企業にとって重要な課題となっている。世界中の仮想通貨マイニングの70%近くが中国で行われており、四川省を拠点としているマイナーが多い理由として水力発電が盛んなことが挙げられる。しかし、その電力消費量の大きさから、マイニング企業に電力販売を拒否する動きも出てきている。

カナダでは電力企業大手であるイドロ・ケベックが今月7日、仮想通貨マイナーからの電力養成の処理を一時停止すると発表もしている。

安価な電力を求めて多くのマイニング企業が集まり、電力需要がイドロ・ケベックの短中期的発電能力を超えたためと言われており、ケベック州政府は、仮想通貨マイナーへの電力販売を停止するようイドロ・ケベックに命じている。

2月にはイタリア本拠で欧州電力企業大手のエネルが、仮想通貨マイニング企業であるエンビジョン(Ebvision)に再生エネルギーを販売しないことを発表もしている。

今年2月にはビットコインなどPoWの仮想通貨をマイニングする際に膨大な電力がかかることが環境破壊になるとBIS(国際決済銀行)のGMであるAgustin Carstens氏は見解を示した。

今後、エストニアの風力発電利用に倣って、マイニングを続けたい業者にとって電力業者から停止を受けることが無いように再生可能エネルギーを活用する流れが今後増えて行く事も考えられる。

参考:AFP