米証券取引委員会(SEC)のコーポレート・ファイナンスの部門長であるWilliam Hinman氏は、「イーサリアムは証券に該当しない」と発言した。サンフランシスコで開催された仮想通貨カンファレンスの「Yahoo All Markets Summit」の演説で、Hinman氏は以下のように語った。

「証券として販売されているかどうかを判断するうえで中心となってくるのが、どのようにして販売されているかということと、購入者の合理的な期待です。」

まず第一の課題は、第三者によるリターンが期待できるかどうかが重要であるとHinman氏は言う。具体的には、その資産の作成と販売を後援した人物やグループがいたかどうかという点や、開発や管理において重要な役割を果たした人物がいたかどうかといったことがポイントになってくる。

また、資産購入者が投資の利益を追求しているかどうかもカギとなってくる。中央管理型の第三者がいて、利益を期待している購入者がいるなら、証券である可能性は高いとHinman氏は述べた。

証券に該当しない理由の一つとして「分散化されている」点を挙げた。特にビットコインなどは、分散化されているために証券ではないとHinman氏は指摘した。イーサリアムのネットワークも同様に、分散化されているため証券ではないと指摘した。

Hinman氏がイーサリアムが証券と分類されないほど十分に分散化されているという見解は、イーサリアムが問題がなく、SECによって厳しい規制を受けないということを間接的に示しており、イーサリアム側にとっては少し安心したムードが流れたものと見られる。

イーサリアムが2014年に実施したICOが問題視されたと見られており、イーサリアムはICOにて31,000BTC、当時の価格で約1,830万ドルを調達している。

このICOで調達した資金は、イーサリアムプラットフォームを開発するために使用され、多くの投資家がETHの価値がいずれ上昇すると見込んで購入したであろうことから、ETHが証券に分類され、SECにより規制を受けるのではないかと言われていた。

イーサリアムが証券が否かが議論されているとき、イーサリアム財団の共同創設者のジョセフ・ルービン氏は、イーサリアムは共有されたコンピュータリソースへのアクセスする方法であり、証券に当たらないと主張していた。

一方、今月6日、SECのジェイ・クレイトン委員長は、仮想通貨のために有価証券の定義を変更するべきではないとし、ビットコインは法定通貨の代替として扱う事もできることから証券ではないと考えているとした上で、企業がICOを行い資金調達のために発行されたトークンについては、証券になる可能性もあるため適切な管理が必要だと認識を示している。

今後もETHやその他の仮想通貨が証券か?そうではないか?と議論は続くことも考えられ、良くも悪くも市場の価格に対して影響を与えることにもなるだろう。

参考:CNBC